Messages from AGORIANS

作るのではなく、 育てる。
パン作りが 教えてくれた 成長の基礎。

平野 聡 Satoshi Hirano

ホテル アゴーラ リージェンシー 大阪堺

調理部 製菓・製パン 製パンシェフ

パンは温度や湿度の変化を見誤ると、仕上がりに影響が出ます。だから、キッチンの空調管理に対しても、分単位で気を配らなければなりません。経験が浅かった頃はよく失敗してしまい、当時のシェフや先輩に注意されたのを覚えています。そんな時、気付いたことがあります。パンは、作るのではなく育てるんだ、ということを。パン生地に触れながら、発酵菌と対話するイメージです。生地は、季節や天候によって扱いにくい日もありますが、練り時間や水分量を調節しながら少しずつ生地を落ち着かせていく工程は、やはり「作る」ではなく、「育てる」という表現がぴったりです。

 アゴーラは、「美しい日本を集めたホテルアライアンス」をVISIONに掲げ、今現在も成長を続ける会社です。私はこのVISIONに大きな魅力を感じており、自分自身もここで成長したいと考えています。以前、ショップスタッフからキッチンに連絡が入りました。結婚記念日のお祝いに、似顔絵パンを作って欲しいというお客様が、写真を持って来店されているとのこと。パンで似顔絵を描くというのは正直難しいといわざるを得ません。でも、他の店でも断られ続けてここにたどり着いた、という言葉を聞いて、何とかしてあげたい!という気持ちになりました。試行錯誤を繰り返して、商品を完成させました。そっくりな似顔絵パンではなかったかもしれませんが、お客様は本当に喜んでくれました。愛情を込めて育てあげた大切なパンが、お客様の手に渡り、口に運ばれ、「美味しい!」という評価をいただくことで、アゴーラのブランド力が高められ、会社や自身の成長に繋がる、それが大きなやりがいになっています。

 今はシェフとして、スタッフの育成にも、もちろん力を注いでいます。大切にしているのは、スタッフとの対話。これはパン作りと同じですね。スタッフ達も、体調が悪い日や、テンションが上がらない日があります。だからこそ、私は毎日全員としっかり話をする時間をとることにこだわっています。正直話す内容なんか何でもいいんです。顔色や目線、話し方、声の大きさ、姿勢など、アンテナを張って相手と対話することで、本人の目標や悩みについて、本質的なところが見えてくるのです。これまで培ってきた自身の経験が次の世代に受け継がれ、チームとして進化していくことが嬉しくて仕方ありません。皆さんがアゴーラに入社され、更に成長していく姿を見るのが楽しみです。

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